アマチュアはネガティブ?
「君ってアマチュアだね」
面と向かってそういわれたことのある人は少ないかもしれませんが
「アマチュア」ってちょっとネガティブな響きがあると思いませんか?

アマチュアって呼ばれるとちょっと嫌かな・・・
なぜならアマチュア=未熟・素人なという解釈が大半を占めているからだと思うんです。
逆に
「その写真完全にプロですね!」 「プロ並みの腕ですね」
そう言われると嬉しいですよね!

「プロ並み」とか言われると嬉しいな!
ハイアマ
そういったネガティブな響きを嫌ってか、写真界隈ではアマチュアでも高い技術を持っている人を特にハイアマ(ハイ・アマチュアの略)と呼ぶようです。

「ハイアマ」って何ですか?なんかとっても甘そうですね。
「私はハイアマです。」といった場合
“私はアマチュアですが、高い技術を持っていてプロと同等の写真を撮るんですよ。アマチュア(未熟な人、初心者)ではありませんよ”
という気持ちが含まれていると思って良いでしょう。

俺はハイアマやで!アマチュア呼ばわりせんといてな。
ちなみにどうやらこのハイアマ日本独自の表現で、英語圏ではHigh-Amateur とは言わず、Highly-skilled hobbyist(高い技術を持って趣味に高じる人),もしくはシンプルに Enthusiasts (熱心な人) と呼ぶようです。
アマチュアの語源
実はこのアマチュア“Amateur”という単語ですが、語源はラテン語の “amator(愛する人)” 「アマター」からきているそうです。
Origin
Amateur/Definition of Amateur by Lexico Lexico.com
Late 18th century from French, from Italian amatore, from Latin amator ‘lover’, from amare ‘to love’.
そうなんです!もともとそこには【未熟】や【技術が低い】などという意味は含まれていなかったんです。
しかし、徐々に、好きでやっている人→趣味でやっている人→本業ではない人=本業でやるほど技術がない人…
などという本来の意味とは違った意味も加わってきて、現在では、アマチュア=未熟 という意味で使われることが多くなった・・のではないかと推測されます。

アマチュア=未熟じゃないのね!
海外フォトコンにおけるアマチュアとプロの違い
多くの海外写真コンクールでは、Professional 部門、Amateur部門に分けられて審査されています。最近では”Amateur”の代わりに”Non-Professional”と表記するコンテストも増えてきていますね。それも”Amateur”の持つネガティブな響きを避けているせいかもしれません。
ここで以前私も作品を応募・受賞したことのあるIPA(International Photo Awards)という海外写真コンテストがあるのですが昨年の【Pro】と【Amateur】(non-pro)の受賞者の写真を見てください。クリックで公式サイトに飛びます。
どうでしたか?

プロもアマも凄い写真ばっかりだね!

写真だけみたらプロもアマも解らないわ。
“Amateur”各部門と“Pro”部門の受賞作品を見比べて、アマチュアとプロに作品のクオリティの差があるようには見えますか? これは写真の好みにもよりますが部門によってはアマチュア部門の写真の方がクオリティが高いのでは?と思ってしまうこともあるのではないでしょうか?
アマチュアとプロの機材の違い
今の時代、使っているカメラ・機材に関していえば、アマチュアとプロではほぼ差はないですよね。お金さえあれば誰でもどんな機材でも買えます。時にはアマチュアの方が高価な機材を使っている場合さえありますね。撮影技術・後処理の方法についても情報が豊富な今、研究熱心なアマチュアはプロをも凌駕するほどだと思います。
そう、写真一枚のクオリティに関していえば
“Amateur”=未熟 ではないですね。
じゃあ反対に【プロの定義】ってなんなんだ? って質問が出てくると思いますが、それ一つのトピックで何個もブログが書けてしまいそうなので、ここではTIFA(東京国際フォトアワード)のカテゴリーの定義から引用するにとどめておきます。
Q:プロフェッショナル部門の定義とは?
東京・インターナショナル・フォトアワード/ プロ・アマおよび学生のカテゴリーについて
A:プロのカメラマンとして写真を撮る作業を生業とし、収入の大部分を撮影から得ており、商業出版社から写真集を出し販売したり、写真個展を開催したり、プロの写真撮影の組織に属する人々を一般的に「プロフェッショナル部門」の定義としています。

要は、写真でお金を稼いで生活をしているってことだね
D300を使っているプロと遭遇
もうひとつ、私が「あ、この人プロだな!」と思った経験を一つ紹介させてください。
5年ほど前の話で恐縮ですが、勤め先のイベントで集合写真をプロの方にとってもらう機会がありました。そのときのプロの方が使っていたのがなんとニコンのD300でした。

D300って大分古い機種ですよね!
このカメラマンあんまり儲かってないのかな・・?
正直私はそう思いました。アマチュアの私でさえ当時D800Eと大三元使ってましたから。
でもこのカメラマンさん、撮影した後外付けのバックアップメディアに撮影データをすぐにバックアップしたんです。
「お~!この人プロだな~」
と思った瞬間でした。
「プロ」の方は機材に対して堅牢性(ハードな現場で故障しないか)を重要視する方が多いですよね。あと何かトラブルがあったときのバックアップ機材(サブカメラ等)を常備していたり、撮ったデータのバックアップを常に考えていたり、プロならではの【写真=仕事】にたいする心構えをしっかり持っています。それにそのカメラマンさんは、大人数の集合写真なのであえてより被写界深度の深くなるDX機のD300を使っていたのかもしれないですしね。「写真でお金を稼ぐ」のに最新カメラである必要はないんだな、と実感した出来事でした。

新しい機種が出るとすぐ目移りしちゃうんだよね。
アマチュアの意義
では“アマチュア”ってなんなん? アマチュアでいいことあるのん?
私が思うにアマチュアとは・・
「失敗してもOK」
言葉を変えると【自由】【挑戦】が許される。要は何してもいいんです。何撮っても良いのです。
それがアマチュアだし、アマチュアであることの意義・特権だと思います。

ジャンクションってかっこいいよね!私はあの道路と道路が重なりあった構造体に引き付けられるんですよ。

私は夜のイルミネーションが本当に好き
私は橋が好きなので橋の写真ばかり撮ってますし、撮影現場で様々な失敗をしていますよ。
先週なんか
【NDフィルターなしで長時間露光して、写真が真っ白!】
一度付けたNDフィルターを外して構図を確認したあとだったんですけど、そのまま忘れて5分間露光してしまったんですよね・・(苦笑)
アマチュアの特権
写真を始めたばかりのビギナー、高い技術を持ったいわゆるハイアマ、そして将来はプロの写真家を目指している写真家の卵達。それぞれ持っている機材、技術も様々だと思います。
しかし今現在アマチュアの皆さんは、アマチュアならではの特権を楽しみましょう。
- “自分”が好きな被写体だけ 撮り続けて全然OK!
- どこのメーカー、どんなレンズ、どんな機材使っても全然OK!
- 一枚の写真にどんなに時間をかけて後処理しても全然OK!
- SNSに投稿しても、しなくても全然OK!
- そして疲れたら、家でゴロゴロ、撮影しなくても全然OK!
何したっていいんです。失敗してもいいんです。疲れたら安んでいいんです。だってアマチュアなんですから!
写真と撮影と機材を愛して
アマチュアにしかできないことにチャレンジしましょう!
そしてそこにはプロでは撮れない、アマチュアのあなただからこそ撮れる写真がきっとあるはず。
“アマチュア”全然っっOK!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私自身もアマチュアなので【アマチュア】という言葉からネガティブな響きが少しでもなくなってくれたら嬉しいです。

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