最近ではすっかり出番のなくなった元祖神レンズ14-24mm(F2.8G)。今となってはすっかり防湿庫のベンチウオーマー、”守り神”。
以前は君さえいればいい!!って言うほど大好きなレンズだった14−24mm。しかしZ14-30mm購入以降、この重くてかさばる”神”を持ち出すのがどうも億劫に・・・。
名残惜しいですがそろそろ御勇退していただき、新しいレンズ購入資金のためにひと肌脱いでもらう時が来たのか・・。
・・とは言ってみたものの超愛着のあるこのレンズ、しかも”神”!
きっと手放したらバチがあたる・・。
ここは双方納得の上、お互い後悔しないためにも、手放すのはしっかりとルーキー(14-30mm)と比べてみてからでも遅くはない。だって両方持ってるし。
ということで、お得意の長時間露光で撮り比べてみました。
対決場所:早朝の淀川河川敷

大阪淀川。十三大橋と新十三大橋に挟まれる河川敷をピックアップ。この場所は丁度梅田スカイビルを構図の中心にいれることができる私のお気に入り撮影ポイント。
普段は転がして、悪路は背負うことのできる!シンクタンクフォト ストリートウォーカーローリングバックパック
セッティング
以下がざっと今回の使用機材。14-30mmの方はD810と同じ高画素機のZ7を使いたいところだが、残念ながら持ってないのでZ6でご容赦を。三脚も2セット用意。Z6+14-30は軽量なので三脚もLEOFOTOのトラベル三脚を使用。撮影時は風も穏やか、静かな朝だったので問題なし。
カメラ | レンズ | フィルター | 三脚 | |
① | D810 | 14-24 F2.8G | 165mm 角型 | SIRUI AM-284 |
② | Z6 | 14-30 F4S | 円形82mm, 角型100mm | Leofoto LS-224C |
14-24
やはり圧倒的な存在感 フィルターホルダーアダプターを装着したところ ボディ+レンズ+フィルターアダプターフィルターホルダー+フィルター=2310g ライトリーク防止にフィルターホルダーとフィルターの隙間を目張りしています
14-30
ちなみに
14-24用の165mmフィルターですが3,6,10 stopsは樹脂製です。
これらのフィルターは濃度と露光時間が上がるにつれて青被りが顕著なんですね。私はモノクロ加工で仕上げる事がほとんどたっだので問題なかったのですがカラーで仕上げる際には要後処理です。
その後発売されたガラス製のFirecrestフィルターはは色被りも気にならないレベルに改善されました。ガラス製は13stops, 16stops で使用しています。
なんてコンパクト!繰り出し型ズームが若干安っぽいぞ やっぱり82mm円形フィルターは便利 ボディーレンズーフィルター+フード=1275g。軽っ!! 角型フィルターも用意。ハーフNDも使える角形は便利だな~。ちなみに手前の青っぽいのは光害除去フィルターのNightscape。
準備運動
14-24 【フィルターなし】
日の出前。テストショットも兼ねてまずは14-24。撮影時の風速は1m。気温5度。2月の割には穏やかな早朝。水面も穏やかにリフレクションも綺麗。こちらの写真は14-24 F2.8Gで構図決めの一枚。
いや~久しぶりに使ったけど、色乗りもシャープも申し分ない。何気なく撮った一枚が画になるレンズ。流石です。やはり神は手元に残すべきか・・・。
現像:Lightroom Classic
Profile: Camera Flat v2
絞り:F8 ISO:64 SS:1.6sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 6:36 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30 【フィルターなし】
5分遅れることZ6+14-30をセッティング。たった5分遅くなっただけで空の雰囲気がかなり変わってしまいました。14−24に比べると妙にあっさりしているけど、これはこれは単に撮影時間の違いによるものが大きい。(と思うのだが。。これが神との違いか?)あと14-30は14-24の4少し右側から撮影しているので若干構図が違います。
絞り:F8 ISO:100 SS:1/4 NDフィルター:なし 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

ROUND 1 日の出前
14-24 【98秒】
では早速長時間露光撮影。まずは14-24から。今朝はあまり雲がないので長時間露光撮影の醍醐味「流れる雲」はあまり期待できなさそう・・・
まずはND8(3段減光)から。
絞り:F8 ISO:64 SS:98 sec. NDフィルター:3 stops 撮影日時 2021/02/11 6:40 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30 【155秒】
14-24と同じ条件で撮影するべきなのだろうけど、ここは少し長めに流した。
9段減光で約2分30秒。白飛びギリギリ・・・。
※後日ヒストグラム掲載予定
絞り:F8 ISO:100 SS:155 sec. NDフィルター:9 stops 撮影日時 2021/02/11 6:40 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

ROUND 2 日の出直前
14-30 【フィルターなし】
絞り:F9 ISO:100 SS:1/20 sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 6:54 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

14-24【109秒】
まずは神さま。
空も明るくなってきたので6STOPSに切り替えます。
樹脂製フィルターと特有の青被りが顕著に出てきてしまいました。周辺減光も目立ちますね。
※Amazonなどで売られている角型の安価なNDフィルターは樹脂製の物がほとんどなので、気を付けましょう。
絞り:F8 ISO:64 SS:109 sec. NDフィルター:6 stops 撮影日時 2021/02/11 6:51 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30【65秒】
そしてこちらは14-30。逆にこちらは短めに流してみました。ちょっとアンダーだったかも。
絞り:F8 ISO:100 SS:65 sec. NDフィルター:9 stops 撮影日時 2021/02/11 6:56 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉

14-30は24mmにズームしてもう一枚撮ります。※構図の調整はしていません。
絞り:F8 ISO:100 SS:58 sec. NDフィルター:9 stops 撮影日時 2021/02/11 6:57 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉

Round 3 日の出
すでに日の出時刻は過ぎていますが、ビル群と左の橋で遮られてまだ太陽は完全にフレームに入っていませんね。
フィルターなし[14-30]
絞り:F8 ISO:100 SS:1/50 sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 7:01 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉

14-24 【178秒】
ここで14-24の方はガラス製の高濃度フィルター13段のFirecretに変更。これまでの樹脂製のフィルターと違って青被りは解消。スッキリと3分の長時間露光です。それにしても雲がないね・・・・
絞り:F8 ISO:64 SS:178 sec. NDフィルター:13 stops 撮影日時 2021/02/11 7:06 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30 【178秒】
そしてこちらは14-30。こちらは角型フォルダーに10段と3段を重ねています。周辺が気持ち”ケラレ”ているのは角型フォルダーのせいかな。
絞り:F8 ISO:100 SS:178 sec. NDフィルター:13 stops (10+3 STOPS) 撮影日時 2021/02/11 7:02 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

縦構図へ
スマホ全盛、最近は縦構図の方が撮っていてしっくりきてしまうYoshiです。ということで縦。
14-30【フィルターなし】
絞り:F8 ISO:100 SS:1/50 sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 7:06 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉

14-24 【182秒】
一度フィルターを付けてしまうと、外すのが面倒な14-24のフィルターホルダー。
使ったことはないけどNisiさんやKaniさんの14-24用のフィルターの方が使いやすそう。
(絶対使いやすいよ・・・)
ということで一旦雲台から外して構図の調整なしでそのまま縦に。(Lプレート使用)
絞り:F8 ISO:64 SS:182 sec. NDフィルター:13 stops 撮影日時 2021/02/11 7:11 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30
14-30も縦構図にチェンジ。角型ホルダーは取り外しが容易なため構図の確認も簡単。こういう所でも14-30の優位性を感じちゃう(^_-)-☆
ちなみに
D810もZ6もWBは5500で撮影したんだけど、色味が大分違うね・・なんでだろ。
絞り:F8 ISO:100 SS:178 sec. NDフィルター:13 stops 撮影日時 2021/02/11 7:02 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

そしてこちらが長時間露光後。
おっと、よく見ると画面の上中心にうっすらとフレアが出ています。
ということで次からは円形フィルターに切り替えてフード付きで撮影します。
ついに雲登場!
フィルターなし【14-30】
絞り:F8 ISO:100 SS:1/80 sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 7:11 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉
対決も終盤。そしてやっと後方からおあつらえ向きな雲登場。これで長時間露光写真らしくなるぞ(^^♪

14-24
太陽も出てきて、大分明るくなってきたので、F10まで絞ることに。露光時間も2分ほどに短縮。私は基本絞りはf8-11ぐらいで収めるようにしてます。絞りすぎは解像度低下につながるからね。
絞り:F10 ISO:64 SS:138 sec. NDフィルター:13 stops 撮影日時 2021/02/11 7:11 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

YES!これぞ長時間露光の醍醐味、流れる雲!フラットな水面!
太陽が橋の間から顔をのぞかせてます。
結構厳しい状況だとは思うけど、フレアもゴーストもない。凄いぞ神様!
14-30
ほぼ同時刻に露光スタートの14-30。若干白飛び気味だったので現像時にhighlights(-50)してます。120秒ぐらいで良かったかな。それでもZ6のハイライトの粘りは凄い!
絞り:F8 ISO:100 SS:148 sec. NDフィルター:13 stops 撮影日時 2021/02/11 7:13 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

最終ラウンド 16段減光
フィルターなし 【14-30】
絞り:F8 ISO:100 SS:1/250 sec. NDフィルター:なし 撮影日時 2021/02/11 7:18 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat v2〉
最後はもう一度横構図。一番濃いNDフィルター16段減光で比較してみましょう。

14-24 【338秒】
絞りがf10だったのを計算にいれず、若干アンダーな結果に。まあ、この程度ならRAW現像でええ感じになるでしょう。
絞り:F10 ISO:64 SS:338 sec. NDフィルター:16 stops 撮影日時 2021/02/11 7:13 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat〉

14-30 【304秒】
こちらはほぼピッタシカンカンな感じ。雲もビシっと決まりました。色被りが少ないのは、フィルターの厚みのせいかも。165mmの方が厚いんですよね・・。
絞り:F8 ISO:100 SS:304 sec. NDフィルター:16 stops:Firecrest NDフィルター Superslim Stackable ND 4.8 82mm 撮影日時 2021/02/11 7:13 現像〈Profile〉:Lightroom Classic〈Camera Flat V2〉

RAW現像対決
これまではほぼピクチャーコントロールのフラットでハイライトぐらいしか触ってなかったのですが、最後にLightRoomClassicのみを使って調整したのがこちらの写真。
14-24
複雑な色合いの空やな~。日の出5分間の光景を一枚に閉じ込めました。
よく見ると右下の方にフレアがあるね。。

14-30
14-30の方が気持ちスッキリしてますかね。どちらが好きですか?
ちなみにこちらはフレアは出てないですね。

モノクロ対決
モノクロにしたらどうでしょうか。こちらもLightRoomClassicのみを使ってます。
14-24
モノクロにすると14-24のシャープさが際立ちます。私もこのモノクロの描写にノックダウンされ続けました。

14-30
こちら14-30も負けてないですね。14-24F2.8Gの発売が2007年。14-30が2019年。12年でこのコンパクトなレンズでここまでの画を生み出せるようになりました。
NIKONの技術者の皆様に感謝です(^^♪

勝ったのはどっち?
久しぶりに使った14-24、その存在感と写りはやはり流石でした。出目金レンズにフィルターを使うのは面倒でしたが、朝日の逆光にもびくともせず、写りは絶品!さすが元祖「神」レンズ。
そしてZ14-30。見た目は少々頼りない、それはさておき流石最新のZレンズ。シャープ、色乗り逆光性能、こんな小さな筐筒からは想像もできない秘めた力を発揮。
そして何より、軽い!安い?フィルターワークも自由自在! これぞデジタル時代の新スタンダード!
さよなら神様?
ということで神様さよなら。(あっさり)
あなたを待っている人はきっとどこかにいます。お元気で。今までありがとう!!(^^♪
14−24:「待てい!! このままでは終わらんぞ!夜景対決じゃ!!」
ええ〜! 往生際が悪いですね〜神様。でもこの対決、個人的にもっと見てみたい!
・・・ということで夜景編に続きます。
撮影の様子:動画
撮影中の様子を動画で撮っていたので興味あれば御覧ください〜。

撮影中の様子を動画で撮っていたので興味あれば御覧ください〜。
追記&追加作例

Z7を購入したので同じ場所で撮影してみました。
曇り空だとこういう写真になりますよ。
同じ場所でも天候によって雰囲気がガラッと変わりますね。
撮影日:2021/2/28
撮影時間:AM7:00~8:00
カメラ:Z7
レンズ: Z 14-30/4 S
フィルター:16段減光NDフィルター (Formatt-Hitech Firecrest 16 ND64000相当)
f7.1/ iso64/ 1/20秒 f7.1/ iso64 /426秒 / 16段減光フィルター モノクロバージョン
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